三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2015年7月12日放送

田んぼでの農作業体験や炭やき体験、地域での自然体験を通して、地元外の人にも来てもらい、ふれあいの場作り!
地域を越え、世代を越えた繋がりを生み出します!

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今回ご紹介するのは、南伊勢町泉地区。
泉川に沿って点在する小さな集落で、人口は200人ほど。
少子高齢化は進むものの、明るくのんびりとした地域です。
ここに、山をフィールドに活躍するゲンキさんがいるそうです!

 

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こちらで集まっているのが、その、『いずみ楽農会』のみなさん。
代表の田畑由美さんに、会の活動についてお聞きしました。

「私たちはここの地域で、山での炭焼きや、田んぼの体験など、農業を中心にした活動をいろんな人に体験してもらうための、受け入れ役をするボランティア団体です」

『いずみ楽農会』は、南伊勢町の泉地区で、農業、林業に従事する人たちが中心となって、13年前に結成。
炭焼きや米作りを通じて、林業や農業の魅力を伝え、地域の文化、活力を未来へ残そうと取り組んでいます。

「ここ泉地区の豊かな自然と昔から伝わる農業の技をベースに、それを伝えること自体が目的ではなく、それを呼び水に、いろいろな世代の人たちが集う場を作るというところが一番の目的です」

と、田畑さん。

 

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この日は伊賀市の中瀬小学校の5年生のみなさんが、里山と炭やき体験のために、『いずみ楽農会』へとやって来ました。
みんな、目がキラキラしていますね!

 

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里山ウォーキングスタート。
『いずみ楽農会』が作り、維持している炭焼き窯まで、およそ2kmの道のりを歩きます。

途中、炭焼きによく使われる木『ウバメガシ』を見つけました。
ウバメガシは雑木の中でも一番堅い木で、炭は最高の備長炭になります。

 

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見つけたのは、谷間の田んぼ跡地。
『隠田(かくしだ)』と呼ばれ、その昔、厳しい年貢の取り立てから逃れるため
密かに作っていた田んぼだそうです。

 

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「鹿の骨だ!」

小学生が見つけたのは、なんと鹿の骨!
それ、本当に持って帰るの?
カバンに入れるにはちょっと大きすぎるし、お父さんお母さん驚くんじゃないかなあ。

 

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「葉っぱがピカピカしているのが照葉樹。ウバメガシやヤマモモです。
その木たちを焼いて炭にしますが、切った気は枯れるのではなく、そこからまた新しい芽が伸びてくるんです
ただ森があって、山があって、海があることで、川はキレイになるわけではありません。
そこに人の手が入ることで、生態系のバランスが守られ、豊かな森が守られていくというのが里山なんです。だからこそ、炭焼きのような人の手が入る作業というのが、山には欠かせないんです」

と、田畑さん。

 

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ゴールは、山の中腹に作られた、『いずみ楽農会』自慢の炭焼き窯。
炭焼きの達人・右田さんの指導のもと、メンバーの力で作り上げた窯です。

 

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焼き上がりまで、何日もかかる炭焼きを体験してもらうのはさすがに無理。
というわけで、事前に『いずみ楽農会』のみなさんが準備した木を、窯の中に並べる作業を体験してもらうことに。
炭焼き窯に入るなんて、みんな初めての体験。
これもドキドキ、ワクワクです!

 

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年に数回、数日間かけて作られる『いずみ楽農会』の炭は地元を中心に販売。その収益は、会の大切な運営費となっています。
自分たちで、運営費を稼ぎ出す仕組み。
それは、『いずみ楽農会』の強みのひとつになっています。

 

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お昼ごはんは、はがまで、ごはんを炊いてみんなで準備。
おかずは、地元の障がい福祉施設『ファイト』のみなさんが作って配達してくれました。

 

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こうした地域のつながり、そして、地域や世代を超えたつながりを活動の中で、作り出していく。
これが『いずみ楽農会』の活動の大きな特徴です。

 

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「海がキレイにならないと・・・と、海ばかり見てしまいますが、まず山がキレイにならないと、海はどんどんダメになっていくのです。
それを、山を歩いて海も見てみて、感じて欲しいですね」

と、『いずみ楽農会』メンバーの河合春美さん。

「大切なのは人と人とのふれあい。
それが泉地区を良くしていくので、そういう機会をどんどん増やしていきたいですね。
特に、若い人たちがこれから中心となり、泉の町をもっと良くしてもらいたいです」

と、同じくメンバーの東定也さん。
そして画像一番下の福田伸行さんは、志摩市在住の『いずみ楽農会』サポートメンバーです。

「実際に活動に参加してみて、南伊勢町は頑張っているなと感じました。
私と同じ年代の人ならよくあることだと思いますが、ここでは若い人から年配の人まで、とてもよく活動していますね。
だから、私もその中に入れたらと思い、参加しています」

そして田畑さんが目指す、『いずみ楽農会』のこれからとは。

「自然豊かで穏やかな場所ですが、人口減少と高齢化の波が来ています。
だからこそ、地域外からここに住んでみたいと思う人たちを、どんどん受け入れて、みんなでこの地域を育てていけたらと思います。
カフェやシェアハウスなど、一人で生きていくことが困難な人たちや孤立している人たちが繋がりあって、生きていける場・楽しんでいける場を生み出せていけると良いですね」

山から川へ、川から海へとつながっているように、地域を越え、世代を越えてつながり、みんなで楽しみながら新しい可能性を見出していく。

『いずみ楽農会』の取り組みは、今後、さらに注目を浴びるに違いありません。